映画館へ通う道にピンクが日に日に濃くなってきている。
広瀬川沿いにはずらっと桜の木が並んでいるから
いつもにましてあの遊歩道が好きになる。
夜になれば、ぽつりぽつりとシクルランプがあったかく光る。
ぼんやり明るくなったそこには、昼間とは違った桜の色。
お休みの日に夜のお散歩に出掛けよう。
たぶん、夜はまだまだ寒いから、暖まりにあそこへ寄ろう。
古本屋のある美容室。
21時から、ふんわりと蜜蝋のキャンドルで灯される。
薄暗い部屋には、私の好きなお店の地粉のお菓子と
4種類の豆富ドーナツ。それにあったかいのみもの。
明日になるまでぼーーっと蜜蝋キャンドルの火でも眺めてみようか。
それとも、満月文庫の古本でも読みふけようか。
大きいソファに座ったら、居眠りしちゃいそうだな。
可愛いワンピースを着た美容室のお姉さんは、
笑って許してくれそうだから、そんな過ごし方もいいと思う。
24時になったら、同じ道を歩いて帰ろう。
ささやかだけど、宝物みたいな春の一日がつくれそう。
一年後、桜を見たら必ず思い出すんだろう。