2014/11/07

おもいとおしらせ。

当店は、カフェではありません。
ましてや、高級店でも、レストランでもない。
イートインスペースのある、ドーナツ屋です。
だからこそなのかもしれませんが、色んな方が来てくださる場として
オープン当初から、少し気になる事がありました。

こんな決まり事をわざわざ設けるのは本当に心苦しいのですが
donuts standの店内は、今後、写真撮影をご遠慮頂く事にきめました。

飲食店をされている方、他のお商売をされている方でも
少なくても一度は同じ想いをされている方も多いかと思います。

理由は幾つかあります。

写真とってもいいですか?に、どうぞ!とお答えしてきましたが、
こちらとしては、どこを撮って頂いても構いません!
何枚でもどうぞ!作業場もとっていいですよ!とは思っていません。
そこら辺はモラルの話だと考えています。
それに、私が他店でくつろいでいる時に、シャッター音が鳴り響くのは
あまり気持ちがいいものではないと感じた事があるからです。

その写真は何に使いますか?
そんな風にお聞きするのも、こちらとしては気がのりません。
ブログや飲食店を紹介するサイトで、どの写真がどんな風に使われるか
お店として把握できないのは何か違和感を感じています。
現に、表現は悪いかもしれませんが、食べ途中のお皿に載ったドーナツ、
決して綺麗とは言えないぐちゃぐちゃの姿を、こんな感じ!
と載せられたこちらの気持ちは複雑です。

更には、残念ながら気に入って頂けなかったような内容を
つらつら書く理由は何でしょう。。
不特定多数の目に触れる場である、ネット上、
いいお店、好きなお店、お勧めなお店を紹介する場であるはずの媒体で
気持ちの良くない表現、画像が目につくのはなんだかおかしいですよね。
こちらは万人に受けるようなものを作っている意識はありません。
というか、そんなものこの世に存在しませんから。

インターネットがここまで普及していなかった頃は
気になるお店に入るのに緊張したり、躊躇したりしながら
扉を開けて初めて目に飛び込んでくるその光景に胸が躍ったものです。
今はそれが、限りなく減ってしまったような気がします。
下手すると、前情報が多過ぎて行った気になって満足してしまったり。
これって、お商売の寿命が短くなってしまっている原因の
ひとつなのかもしれないとも感じます。

お客さまは神様だと言う言葉は、お商売上の言葉ではないそうですね。
三波春夫サンの言葉。彼自身も妙な使われ方だと頭を抱えたそうですが、
どうにも、お金を払うんだから何をしてもいいでしょう!といった
クレーマーのようなお客さまが増えてしまったんだから困ります。
買ってやる、食べてやる、広めてやる、といったような格好は
作り手の本望とは温度差があるように感じます。
ビジネスライクなチェーン店は分かりませんが、少なくてもうちのようなお店は。

お客さま相手のこのブログに書くのもおかしな事かもしれませんが、
お客さんに寄せて寄せてつくられたお店に、私はぐっと胸をつかまれる事はありません。
うちはこんなスタイルです、どうか気に入って頂けたらまたお出掛けくださいね。
そんな風に、謙虚にも個性で佇むお店に魅力を感じる。
一昔前まではたくさん残っていたそんなお店に対して、お客さま神様だ!
と鬼さんが来られては、小さいお店はタジタジです。
もはや今日は、前者のようなお店で溢れ返って飽和状態。
うまい言い回しがみつかりませんが、お店もお客さんも文句言う事なしに
お互いを選びあえる環境が欲しいです。


この事をつらつら書きながらも、どうしてこんな事を書かないと
いけなくなったかと胸が苦しくなります。
私一人の話だったら一人涙をのむ事でしょう。
でも、ひとつのドーナツ、お皿の上、マグカップ、飲み物一滴に
それはそれはとっても長いストーリーがあって
色んな人が、色んな想い、苦労をされて、ここに運び寄ってくれたお店が
モンスーンドーナツなのです。
農家さんから始まるこのドーナツで、何かを感じてもらえる事が私の本望です。
言葉でこのような事を伝えるのは本当に苦しい事。
本来はお店の雰囲気や、ドーナツの味で伝えるべきと考え、
これからも日々、精進してまいります。